リクルートが2026年9月16日、「SUUMO住み続けたい街ランキング2026 福岡県版」を発表しました。
「住み続けたい街(駅)」の1位は薬院大通駅。
2022年、2024年に続き、3回連続の1位となりました。
2位は大濠公園、3位には2023年に開業した櫛田神社前が初のTOP3入り。上位20駅のうち18駅を福岡市内の駅が占めています。
ただ、このランキング。
「福岡で一番住みやすい街は薬院大通」という意味なのでしょうか?
調査方法を詳しく見てみると、一般的な「住みたい街ランキング」とは少し違った見方ができそうです。
2026年「住み続けたい街」TOP10
まずは今回の結果を見てみましょう。
| 順位 | 駅 | 平均評価点 | 偏差値 | 回答者数 |
|---|---|---|---|---|
| 1位 | 薬院大通 | 87.36 | 76.11 | 121 |
| 2位 | 大濠公園 | 84.84 | 71.51 | 155 |
| 3位 | 櫛田神社前 | 83.78 | 69.58 | 37 |
| 4位 | 薬院 | 83.65 | 69.34 | 304 |
| 5位 | 唐人町 | 83.11 | 68.35 | 180 |
| 6位 | 西新 | 81.87 | 66.08 | 482 |
| 7位 | 名島 | 81.52 | 65.44 | 66 |
| 8位 | 六本松 | 81.28 | 65.00 | 337 |
| 9位 | 赤坂 | 81.08 | 64.64 | 148 |
| 10位 | 中洲川端 | 81.01 | 64.52 | 79 |
※出典:株式会社リクルート「SUUMO住み続けたい街ランキング2026 福岡県版」
薬院大通の平均評価点は87.36点。
2位の大濠公園84.84点を2.52ポイント上回っています。
では、この「87.36点」とは何なのでしょうか。
「87.36点」はどうやって決まる?
この調査で聞いているのは、
「お住まいの街に今後も住み続けたいですか。」
という質問です。
「まったくそう思わない」から「とてもそう思う」まで11段階で回答してもらい、それぞれを0点、10点、20点……100点に換算。
その駅に30人以上の回答者がいる場合に平均値を計算してランキングしています。
つまり薬院大通の場合、
薬院大通を最寄駅として回答した121人
↓
「今後も住み続けたいか」を11段階で評価
↓
0~100点に換算
↓
121人の平均が87.36点
ということです。
ここで大切なのは、薬院大通を「住みたい」と答えた人を集めた調査ではないということ。
現在その街に住んでいる人に聞いています。
その意味では、このランキングは「住みたい街ランキング」というより、
「今住んでいる人の継続居住意向ランキング」
と考えた方が分かりやすいでしょう。
ランキングを見るときは「回答者数」にも注目
もう一つ、ランキングを見るときに確認しておきたいのが「回答者数」です。
1位の薬院大通は121人。
一方で、
3位の櫛田神社前は37人
4位の薬院は304人
6位の西新は482人
と、駅によって回答者数にはかなり差があります。
回答者数が多いほど順位が上がる仕組みではありません。
たとえば、
櫛田神社前 37人/83.78点/3位
に対して、
西新 482人/81.87点/6位
です。
当然ながら、回答者が少ない駅ほど、少数の回答の違いによって平均点が動きやすくなります。
今回の調査では30人以上をランキング対象としていますが、平均評価点だけを見るのではなく、
「何人が回答した結果なのか」
も一緒に確認しておきたいところです。
なお、この調査では最寄駅を最大2駅まで回答できるため、同じ回答者がそれぞれの駅に重複して集計される場合があります。
では、このランキングから何が分かる?
この調査から分かるのは、
「現在その街に暮らしている人が、これからもその街に住み続けたいと思っている程度」
です。
したがって、1位の薬院大通を「福岡で最も住みやすい街」や「住宅購入に最も適した街」と考えるのは少し違います。
ただし、この調査には住宅購入を検討する人にとって、とても参考になるデータがあります。
それが、2次調査で聞いている**「街の魅力」**です。
住民に街の魅力について45項目の満足度を聞いているため、
「その街に住んでいる人は、実際に何を評価しているのか」
を見ることができます。
TOP10の住民は「街の何」を評価している?
そこで「住み続けたい街」TOP10について、住民が高く評価した魅力TOP5を見てみましょう。
※以下の項目名は、リクルート調査の「街の魅力上位5項目」を読みやすいよう一部短縮しています。カッコ内は各魅力項目の偏差値です。
1位 薬院大通
平均評価点87.36/回答者121人
- センスのいい飲食店・個人商店(77.46)
- 落ち着いて仕事のできる施設(77.45)
- 人からうらやましがられる(77.28)
- 不動産の資産価値が高そう(74.87)
- この街で暮らしていると生きがいを感じる(74.72)
薬院大通で目立つのは、単なる交通や買い物の便利さではありません。
店、働く環境、街のイメージ、資産価値、暮らすことそのものへの満足感が上位に並びます。
2位 大濠公園
平均評価点84.84/回答者155人
- 公園が充実(72.03)
- 散歩・ジョギングしやすい(70.25)
- 住宅街が整然として美しい(70.24)
- 人からうらやましがられる(68.49)
- 文化施設が充実(67.72)
こちらは非常に分かりやすい結果です。
大濠公園を日常的に利用できる環境と、美しい街並み、文化施設。
大濠公園周辺ならではの住環境が、そのまま住民評価に表れています。
3位 櫛田神社前
平均評価点83.78/回答者37人
- 落ち着いて仕事のできる施設(81.35)
- 商店街(80.04)
- センスのいい飲食店・個人商店(79.97)
- コストパフォーマンスのよい飲食店・個人商店(79.13)
- メディアによく取り上げられる(78.82)
櫛田神社前は、上位項目の偏差値が非常に高いのが特徴です。
都心の商業・飲食・賑わいを身近に楽しめる暮らしへの評価が表れています。
ただし、回答者数は37人。その点は頭に入れて見ておきたいところです。
4位 薬院
平均評価点83.65/回答者304人
- センスのいい飲食店・個人商店(74.04)
- 人からうらやましがられる(74.03)
- お気に入りの場所や風景がある(73.81)
- 落ち着いて仕事のできる施設(73.70)
- 不動産の資産価値が高そう(72.85)
薬院大通と非常によく似ています。
店の魅力、街のイメージ、働く場所、資産価値。
「薬院」というエリア全体に共通する魅力が見えてきます。
5位 唐人町
平均評価点83.11/回答者180人
- 散歩・ジョギングしやすい(78.14)
- 公園が充実(73.22)
- 文化施設が充実(72.80)
- 人からうらやましがられる(72.27)
- 商店街(71.62)
大濠公園と同様、「散歩」「公園」「文化施設」が上位です。
一方で商店街も入り、大濠公園周辺の環境と日常生活の利便性の両方が評価されています。
6位 西新
平均評価点81.87/回答者482人
- 図書館施設(74.10)
- 多様な人がなじみやすい(73.86)
- 商店街(73.37)
- 文化施設(71.70)
- 街の住民がその街を好きそう(70.37)
西新はTOP10の中でも特徴的です。
図書館や文化施設、商店街だけでなく、
「多様な人がなじみやすい」「住民が街を好きそう」
という評価が上位に入っています。
街としての懐の深さや、地域への愛着が感じられる結果です。
7位 名島
平均評価点81.52/回答者66人
- 車でいろいろな場所へ行きやすい(63.97)
- 散歩・ジョギングしやすい(63.65)
- 運動施設が充実(59.31)
- 通勤・通学しやすい(57.67)
- 大規模商業施設(55.90)
都心部の駅とは評価ポイントが大きく違います。
車での移動、通勤・通学、運動、買い物など、日常生活の実用性が上位に並びます。
*編集長コメント (飛ばしてもらってOKです)
正直、編集長の私も名島にはあまり馴染みがなく、「散歩・ジョギングしやすい」「運動施設が充実」という評価が高いのは少し意外でした。
そこで調べてみると、名島には約5.2haの県営「名島運動公園」があり、野球場やテニスコート、自由広場などが整備されています。その隣には福岡市立東市民プールもあります。さらに多々良川沿いには多々良川緑地があり、福岡市の資料でも利用目的は「散歩・ウォーキング等が大半」とされています。
なるほど。
都心のような「おしゃれな店が多い」「資産価値が高そう」といった評価ではなく、日常的に歩く、走る、運動する。そんな暮らしやすさを実際の住民が評価している街ということなのかもしれません。
こうして見ると、名島が「住み続けたい街」7位に入ったことも、少し納得できる気がします。
8位 六本松
平均評価点81.28/回答者337人
- 不動産の資産価値が高そう(66.98)
- 文化施設が充実(66.63)
- 暮らしに生きがいを感じる(65.30)
- 治安が良い(64.98)
- センスのいい飲食店・個人商店(64.94)
資産価値、文化、治安、店。
特定の魅力だけが突出するというより、都市生活と住環境のバランスが評価されていることが分かります。
9位 赤坂
平均評価点81.08/回答者148人
- センスのいい飲食店・個人商店(74.55)
- 落ち着いて仕事のできる施設(71.14)
- コストパフォーマンスのよい飲食店・個人商店(70.77)
- 多様な人がなじみやすい(69.91)
- 人からうらやましがられる(68.52)
薬院大通・薬院と同じく、店や働く場所など、都市生活そのものを楽しめることへの評価が目立ちます。
10位 中洲川端
平均評価点81.01/回答者79人
- 街に賑わいがある(76.08)
- 地域の食文化を楽しめる(72.43)
- 魅力的な働く場や企業がある(72.23)
- 今後、街が発展しそう(71.60)
- 歴史情緒を感じられる(71.22)
中洲川端はさらに個性的です。
賑わい、食、仕事、発展性、歴史。
静かな住宅地としてではなく、博多の都心そのものに暮らすことが評価されていることが分かります。
同じ「住み続けたい」でも、理由はまったく違う
TOP10を並べてみると、「住み続けたい」という気持ちにつながる街の魅力が一つではないことが分かります。
薬院大通・薬院・赤坂なら、店や都市生活、街のイメージ。
大濠公園・唐人町なら、公園、散歩、文化、街並み。
西新なら、商店街、文化、多様性、街への愛着。
名島なら、移動や買い物など日常生活の実用性。
六本松なら、資産価値、文化、治安などのバランス。
中洲川端なら、賑わい、食、仕事、歴史。
こうして見ると、
「1位だから薬院大通が一番いい街」
と考えるよりも、このランキングの違った使い方が見えてきます。
なお、今回ランキングに登場した薬院大通・大濠公園・唐人町・赤坂・六本松・中洲川端は
いずれも福岡市中央区、西新は早良区にあたるエリアです。
これらのエリアで新築マンションを検討している方は、以下もあわせてチェックしてみてください。
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編集長まとめ|「何位か」より「なぜ住み続けたいのか」
薬院大通が3回連続1位という結果は、もちろん興味深いものです。
ただし、このランキングは「福岡で最も住みやすい街」を決めたものではありません。
調査しているのは、
現在その街に住んでいる人が、これからも住み続けたいと思っているか。
です。
そして住宅購入を考えている人にとって参考になるのは、順位だけではなく、
「実際に住んでいる人が、その街の何を評価しているのか」
ではないでしょうか。
公園のある暮らしを求める人と、個性的な飲食店が身近にある暮らしを求める人では、選ぶ街は当然違います。
商店街が欲しい人もいれば、車で動きやすいことを優先する人もいます。
だからこそ、
「住んでいる人が評価しているポイント」と「自分が街に求めるもの」が一致しているか。
そんな視点でこのランキングを見ると、単なる人気順位ではなく、自分に合った街を探すための資料として使えるのではないでしょうか。
※出典:株式会社リクルート「SUUMO住み続けたい街ランキング2026 福岡県版」(2026年9月16日発表)