熊本・黒川温泉近郊、南小国町の竹林の中に、12の離れが点在する宿があります。「秘境 白川源泉 山荘 竹ふえ」。今回はこの宿ならではの過ごし方——貸切の大露天風呂で味わう、ここでしかできない時間について紹介します。
福岡から、竹林の秘湯へ
車の場合、日田ICから約1時間、熊本ICからは約1時間30分が目安です。福岡市内からは大分自動車道を経由し、日田IC経由でおおよそ2時間程度の道のりになります。飛行機の場合は熊本空港からバス送迎(要予約)で約2時間です。
この時は、高千穂峡を回って竹ふえに向かい。帰りは近くの熊本の水源を3つほどハシゴしてから帰りました。
観光地やドライブが楽しめるエリアです。
一点、実用的な情報として。
貸切の大露天風呂は宿泊中1回のみの利用となります。部屋の内湯とあわせてじっくり楽しみたい場合は、連泊も選択肢に入れておくとよさそうです。
竹林に抱かれた、療養泉の宿
竹ふえの創業は2000年。約5,000坪の敷地に、12室の離れが趣ある回廊で結ばれながら点在しています。すべての部屋に囲炉裏と内湯があり、うち8室には広々とした露天風呂も備わっています。



この宿の特徴は、お風呂の数そのものにもあります。敷地内には、各客室専用の内湯・露天風呂と、宿泊者が予約制で利用できる貸切風呂をあわせて合計30の風呂があり、そのすべてが自家源泉のかけ流しです。
さらに、蛇口から出る水も敷地内の自家水源から湧く天然水で、「竹林水」と名付けられ、検査済みでそのまま飲めるほどの清らかさだといいます。数万本の竹林と数千本の紅葉が敷地全体を彩り、建物よりもむしろ竹林そのものが主役であるかのような設えです。
温泉は「療養泉」に分類される炭酸水素塩泉・硫酸塩泉で、無色透明。ナトリウム分を多く含み、血圧を下げ、痛みを和らげる鎮静作用があるとされています。
夜には笛の生演奏が響く、宿名の由来にもなった仕掛けもあります。
竹林の貸切露天風呂で、日本酒を愉しむ
この宿でもっとも特別だったのは、事前予約制の貸切大露天風呂です。
かなりの広さの湯を独り占めでき、お酒やビールは飲み放題!?
専用のバランス桶に徳利と盃をのせ、湯に浮かべながら日本酒を楽しむという、これまで経験したことのない趣向がありました。竹林を眺めながら味わう一杯は、この宿でなければ成立しない時間です。
ただ、テンション上がって飲みすぎるのは、注意しましょう。旅館時間を楽しめなくなります笑


もうひとつ印象的だったのは、部屋の風呂の先にある畳の間での過ごし方です。窓を開けて竹林を眺めながら涼み、冷えたら湯に浸かって温まる、その繰り返しの中で読書がずいぶん捗りました。



正直に言うと、部屋そのものの造りや食事の内容には、期待したほどの驚きはありませんでした。
部屋食で、布団を敷きに来てくれるスタイルなので、落ち着ききれない場面もありました。万人に強くおすすめできる宿とまでは言い切れません。
ただ、貸切露天風呂でお酒を味わう体験と、竹林を眺めながらの静かな読書時間だけは、他では得がたいものでした。秘湯ならではの尖った体験を求める方には、訪れる価値があると思います。
おわりに
竹林亭やザ・リッツ・カールトン福岡が「空間全体の心地よさ」を伝える宿だとすれば、自分にとって竹ふえは「ある一つの体験」に特化した宿と言えます。心地良い空間の形は、必ずしも総合点の高さだけで測れるものではありません。