福岡市が2015年から進めてきた「天神ビッグバン」。
老朽化したビルの建替えを促進し、天神エリアを国際競争力のある街へ変えていく大型再開発です。
当初は2024年度末までの計画でしたが、コロナ禍の影響などもあり、現在は2026年末まで延長されています。
福岡市によると、2025年3月末時点で、建築確認申請93棟、竣工74棟まで進んでいます。
当初は「30棟程度の建替え」が目標だったことを考えると、想定以上のスピードで進んでいることになります。
ワンビル開業で“街の景色”は大きく変わった
2025年には、「ONE FUKUOKA BLDG.(ワンビル)」が開業。
旧福岡ビル・天神コア・天神ビブレ跡地に誕生した大型複合ビルで、天神ビッグバンの象徴的存在です。
実際に歩いてみると、以前の天神とはかなり空気感が変わりました。
街並みは洗練され、歩道空間も広がり、ビルのグレード感も一気に上がっています。
一方で、
「東京っぽくなった」
と感じる人も増えている印象があります。
オフィス需要は、本当に今後も続くのか
個人的には、天神ビッグバンが始まった当初から、
「ここまで大量にオフィスを供給して、本当に埋まるのだろうか?」
という疑問がありました。
特にコロナ以降は、テレワークが一気に普及しました。
以前のように、「とにかく広いオフィスが必要」という時代ではなくなり、オフィス需要そのものが減っていくとも言われていました。
その中で、天神では大型オフィスビルの供給が続いています。
ただ、現時点では福岡のオフィス空室率は大崩れしていません。
背景には、
・東京企業の福岡進出
・IT企業需要
・古いビルからの移転
・高機能オフィス需要
などがあります。
実際、新築ビルへの移転需要はかなり強いようです。
ただ、個人的には、
「福岡そのものの経済力が急成長している」
というより、
「東京圏の受け皿として福岡が選ばれている」
側面が大きいように感じています。
人口増加についても、福岡で出生率が大きく伸びているというより、九州各地からの人口流入による部分が大きいと思います。
つまり現在の福岡は、
“地方都市として強くなっている”
というより、
“東京一極集中の分散先として選ばれている”
状態に近いのかもしれません。
そのため、現在はオフィス需要を吸収していても、それが10年後も続くかについては、個人的にはまだ懐疑的な部分があります。
一方で、“福岡らしさ”は変わり始めている
以前の天神には、
・小さな雑居ビル
・個人経営の飲食店
・独特なカルチャー
・雑多な空気感
がありました。
しかし再開発によって賃料が上がり、大手資本の店舗が増えています。
便利で綺麗になった一方で、
「どこも同じような街になっている」
と感じる人もいるかもしれません。
昔のイムズにあったような、“少し尖った店” や “個性的な空気” は減ってきている印象があります。
天神ビッグバンは、福岡の住宅価格にも影響している
この変化は、マンション市場にも直結しています。
天神ビッグバンによって中心部の地価が上がり、大型投資が集まり、福岡そのものの都市価値が上昇しました。
その流れの中で、
・中央区マンション価格上昇
・面積縮小
・高額化
・郊外人気
・地下鉄沿線再評価
なども起きています。
つまり、現在の福岡の住宅価格上昇は、
「単純な住宅需要」
だけではなく、
「福岡という都市への投資」
によって押し上げられている部分もかなり大きいと思います。
天神ビッグバンは、単なる再開発ではなく、
「福岡でどこに住むか」
そのものを変え始めているプロジェクトなのかもしれません。
