ネット銀行の住宅ローンが変わり始めた?「目先の負担減」商品の注意点と、福岡の地銀の変動金利

住宅ローンといえば「ネット銀行が一番安い」というのが、ここ数年の常識でした。ところが、その前提が少しずつ崩れ始めています。

日本経済新聞(2026年10月21日)は、ネット銀行各社が「最安金利」で競う戦略から、手数料や返済方法を工夫して「目先の負担を軽くする」商品で顧客を取り込む戦略へと、軸足を移しつつあると報じました。

この記事では、そのニュースのポイントを整理したうえで、新しく登場したローン商品の注意点と、福岡でマンションを買う人にとって気になる地元の地方銀行の金利を見ていきます。

ネット銀行の住宅ローンに何が起きているのか

記事で紹介されていた主な新商品は、次の3つです。

・PayPay銀行(11月〜):借入額の2.2%かかっていた事務手数料をゼロにする代わりに、金利を0.3%上乗せする新プラン
・ドコモSMTBネット銀行(旧住信SBIネット銀行、6月〜):元金の50%を最終回に一括返済する住宅ローン。金利は通常より0.35%高い
・ソニー銀行:最長返済期間を35年から50年に延長し、融資上限も3億円に引き上げ

どれも「借りるときの負担」や「月々の負担」を軽く見せる工夫です。ただ、その分どこかで負担が増える仕組みになっている点には注意が必要です。

手数料ゼロ・金利上乗せ型は「誰向け」の商品か

PayPay銀行の新プランは、事務手数料がかからない代わりに、金利が0.3%高くなります。記事によると、おおむね7〜8年以内に完済する場合に、通常のローンより総返済額を抑えられる計算だそうです。

正直なところ、住宅ローンを7〜8年で返し終える人はほとんどいませんよね。この商品が想定しているのは、自力で完済する人ではなく、家族構成の変化などに合わせて住み替え、売却して一括返済する人です。

ただ、ここにも落とし穴があります。住宅ローンは、借りてしばらくは返済額の多くが利息に回るので、元本がなかなか減りません。たとえば5,000万円を金利1.6%・35年で借りた場合、6年経ってもローン残高は借入額の9割近く残っている計算になります。

さらに、売却するときには仲介手数料などの費用もかかります。マンション価格の上昇が一服しつつあるなかで、5〜6年後に購入時とほぼ同じ価格で売れるかどうかは、物件や市況次第といえそうです。長く住むつもりの人が「手数料ゼロ」だけに惹かれて選ぶと、かえって損をする可能性がある商品だと感じます。

「元金の半分を最後に一括返済」はどういう仕組み?

ドコモSMTBネット銀行の新しいローンは、借りたお金の半分を通常どおり毎月返していき、残りの半分は利息だけを払い続けて、最終回にまとめて返す仕組みです。将来、物件を売却したお金で一括返済することを想定しています。

毎月の返済が軽くなるのは、後半50%分の元金を返していないからです。一方で、その50%分は最後まで借りたままなので、利息は35年間ずっとかかり続けます。金利も通常より0.35%高く設定されています。

1億円を35年で借りた場合のイメージを、ざっくり試算してみました(金利が変わらない前提の概算です)。

比較項目通常のローン(金利1.6%)50%一括返済型(金利1.95%)
毎月の返済約31.1万円約24.6万円
最終回の一括返済なし5,000万円
利息の総額約3,070万円約5,320万円

月々は2割ほど軽くなりますが、利息の総額は2,000万円以上増えます。「お得になる」というより、「月々の負担を下げて、買える物件の上限を引き上げる」ための商品と考えたほうがよさそうです。

もう一つ気をつけたいのが出口です。最終回に売却して返す前提ですが、売却額が足りなければ、差額は自分で用意しなければなりません。物件を手放せば借金がなくなる、という仕組みではないんです。しかも最終回は35年後で、借りた人が60代後半〜70代になっている時期です。その時点で売却がうまくいかなかった場合、なかなか厳しいものがあると考えられます。

なお、この商品の対象は東京23区や横浜市などの1億円以上のマンションとされていて、現時点では福岡の物件は対象外とみられます。

なぜネット銀行の金利が上がっているのか

もう一つ気になったのが、ネット銀行の金利がメガバンクより高くなっているという点です。

記事によると、
10月のネット銀行の変動金利は平均1.598%で、メガバンク(1.332%)や地方銀行(1.505%)を上回りました。直近1年で0.83%も上がっています。
とあります。

背景にあるのは、貸し出しの元手となる預金集めです。金利のある世界になって銀行間の預金獲得競争が激しくなるなか、給与振込口座を多く持つ大手銀行のほうが預金を集めやすく、ネット銀行は調達コストの上昇をローン金利に反映せざるを得なくなっているそうです。

つまり、金利が上がっていく局面では、預金の基盤がしっかりしている銀行のほうが、金利を上げる圧力を受けにくいということになります。「ネット銀行が一番安い」という時代は、いったん区切りを迎えたのかもしれません。

福岡の地銀の変動金利はいくら?

では、福岡でマンションを買う人にとって身近な地元の地方銀行はどうでしょうか。福岡銀行と西日本シティ銀行の公式サイトで、2026年10月時点の新規借入向けの変動金利を確認してみました。

銀行商品変動金利(最優遇)
福岡銀行プレミアム住宅ローン(融資手数料型)年1.525%
福岡銀行プレミアム住宅ローン(保証料一括型)年1.575%
西日本シティ銀行NCB住宅ローン アドバンス年1.440%〜
西日本シティ銀行NCB建築名人(保証料一括型)年1.675%

どちらの銀行も、10月に変動金利の基準となる金利を0.25%引き上げています。福岡銀行の場合、9月までの1.275%から1.525%に上がりました。

日経の記事にあった平均と比べると、ネット銀行の平均よりやや低く、メガバンクの平均よりは高い、地銀平均並みの水準です。

ここに挙げたのは、給与振込の指定などの条件を満たした場合の「最優遇金利」です。審査の結果によっては、これより高い金利になることもあります。また、借入額の2.2%程度の融資手数料がかかるタイプか、保証料を支払うタイプかによっても金利が変わります。金利は毎月見直されるので、実際に借りるときは必ず最新の金利を確認してください。

それと、新築マンションの場合、モデルルームで売主が提携している銀行のローンを勧められることが多いと思います。福岡では、地元の地銀が提携先に入っているケースもよくあります。提携ローンだから一番条件がいいとは限らないので、ネット銀行やメガバンクも含めて、金利だけでなく手数料や団信の内容まで比べてみるのがおすすめです。

変動か固定か、悩ましい時代に

ここまで見てきたように、変動金利はどの銀行も上がってきています。かといって、固定金利は3%を超える水準が中心で、変動との差はまだ大きいのが現状です。

これからは「どの銀行で借りるか」と同じくらい、「変動か固定か」の判断が大事になってきそうです。変動と固定を組み合わせるミックスローンや、10年固定などの期間選択型を検討する人も増えている印象があります。

変動金利を選ぶ場合は、今の金利で月々いくらになるかだけでなく、金利がもう少し上がっても家計が回るかどうかを、一度試算しておくと安心です。

まとめ

ネット銀行の住宅ローンは、「最安金利」から「目先の負担を軽くする商品」へと変わり始めています。手数料ゼロや月々の返済が軽くなるといった言葉は魅力的ですが、その分、金利の上乗せや最後の一括返済など、どこかで負担が増える仕組みになっています。

金利が上がっていく局面では、預金の基盤が厚いメガバンクや地元の地銀に安心感がある、という見方もできそうです。ただ、地銀の変動金利も10月に上がっていて、「どこで借りても金利は上がっていく」という前提で資金計画を立てることが大切だと思います。

マンション選びと同じくらい、住宅ローン選びも慎重に。月々の返済額だけでなく、総返済額や出口まで含めて比べてみてはいかがですか。

※掲載の金利は2026年10月21日時点で各銀行の公式サイトに掲載されている情報をもとにしています。実際の適用金利は審査結果や借入時期によって異なります。
※試算は金利が変わらない前提の概算です。

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